いつものつまらない授業。
いつものつまらない日常。
大学生になって、自由で楽しい毎日が遅れると思ってたけど、それは最初の半年だけだった。
初めての一人暮らしも、最初は好きなときに好きなことが出来て嬉しかったけど、
今では家事の煩雑さに面倒くささしか感じない。
そんな俺の大学生活は2年目に突入した。
友達もある程度はできたが、学部の傾向からして学生は女が多いため、同性の友達はあまり多くない。。
研究室こそ、男友達を誘ってある程度の数を確保したが、それでも肩身が狭い。
それに加えて、文学部の女ってきゃぴきゃぴしてるか、めんどくさいか、本当に女か?っていうやつしかいない。
もっと普通のヤツはいないのかよって思うんだけど。
それも学部の特色。ってやつだろうか。
始めは勉強への意欲も高くて、教員免許もとってやろうと志高かった俺だが、
次第に気持ちが薄れてきて、今では免許の授業が一番つまらないものであった。
今もその授業を一人、一番後列で受けている。
100人ぐらいはいるだろうか。
教育学部の奴らのほうがどう考えても多いから、俺にとってはアウェーである。
だから、最近は講義よりも人間観察を楽しむようになってきていた。
いろんな人がいて結構これが面白い。
お、なんかジャージの女がいる。
普段から着飾った女に見慣れた俺には、彼女が新鮮に見えた。
ジャージってことは、きっと体育科の人だろう。
しかし、この講義メインの授業でジャージだなんてかなり目立つ。
俺の列の3つ前。
赤みを抑えた茶色に染めた髪は肩まで伸びていて、すこしパーマがかかっている。
ジャージをよく見ると・・・お、バスケ部?
この大学のバスケ部といえば強豪部として有名だ。
ということは・・・・けっこうすごい人っぽい。
顔は見えないな。
彼女がどんな顔をしているかが少し気になった。
男としての悲しい性であろう、それは仕方ない。
と、そんなことを考えていたら、終了のチャイムが鳴り響いた。
ああ、これからサークルで新歓があったんだっけ。
俺は今見た彼女のことなどすっかり忘れて、足早に家への帰路をたどったのであった。
*****
それから数日たって、偶然俺は彼女をキャンパスで見かけた。
バスケ部のジャージを着て、リュックを背負い込み、足早に歩いている。
その顔は化粧っ気がなくて、シンプルな顔立ちであったが、整った顔をしていた。
・・・・正直俺のタイプだった。
俺は人並みに恋愛経験がある・・・と思うんだけど、そういうことが苦手だった。
中学・高校となんとなく付き合って、でもなんだか違う気がしてすぐ別れる。ということを繰り返していた。
一応別れるやつに対しては手を出す前にちゃんと縁を切ってたんだけどな・・・・。
それでも噂は悪いほうへ、本人には都合の悪いようにふくらんでいく。
だから俺は遊び人と呼ばれて、男からも女からもいい印象を持たれることがなかった。
それでも、表面的で当たり障りないつきあいはすることが出来たが、
本当に俺を理解してくれている、親友と呼べる友達はかなり少ない。
だから、大学に入ってからは、恋愛系へ一切行動を起こさないと硬く心に誓っていた。
もう「遊び人」呼ばわりはこりごりだったのだ。
俺に声をかけてくる女もたまにはいた。
きゃぴきゃぴ系の女、モデル気取りの女、自称天然の女・・・。
文学部だったり、サークルだったり、いろいろだったが、俺は一切拒否した。
顔はかわいかったけど、いままでちやほやされてきたのがよくわかったし、
男に媚を売るような感じの女が一番キライだった。
恋人は欲しい。
だけど、俺に近づいてくるのはそんな女ばかりで嫌気がさす。
もしかして、女って全員そんな人なのかな?
そんな想いさえ最近生まれてきているくらいだった。
――だけど、実はこの出会いが俺の大学生活を大きく動かしたんだ。
そんなことになろうとは、想像もつかなかった。
*****