9月~10月の間の話。
というか、10月の話の前フリ。
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「お前、3週間後のイベント、覚えてるか?」
「え?」
学校からの帰り道。
10月始めで、だんだんと秋風が気持ち良くなる今日この頃。
完全に受験生モードな俺たちだが、10月末には無駄に体育会系な学校イベントが待っていたりする。
「きょーほ」
そう、強力歩行大会。略して強歩。
20数キロを何時間もかけて歩いたり走ったりする、無駄に体育会系なイベントだ。
基本全員参加。勉強するべき3年生さえも強制参加。
ゆえに俺達も例外なく強制参加。
「なあなあ、最近勉強ばっかでつまんねぇだろ!?」
「……だったら何よ?」
「賭けしようZ」
「無理」
はあああ!?
俺がセリフ言い終わる前に否定すんな!
最後まで聞くとかなんか努力しろよ!
と本来ならツッコミしたいのだか、
真穂相手にこのようなツッコミは無駄なことが最近分かったので、あえて言わない。
「いーじゃねーかよー、どっちが早く着くか賭けようぜー」
「めんどくさ、それで賭けして何のメリットがあるのよ?」
相変わらずのばっさりぶりがご健在で何よりです。妹よ。
しかしここで話にノってもらわねーと、今回の話がすすまねーんだよなぁ…
というわけで、奥の手を発動する。
「…最近お前太っただろ?」
「………」
「ついに俺より重くなっただろ?」
「………」
「このこと、順平たちに話したら良いネタになりそーだなぁ…」
「………条件はなんだ?」
よし!きた!
真穂の顔が最早ほぼ般若だが気にしない。
「いい度胸じゃねぇか、乙女の体をダシに使いやがって」
ポキポキと指の骨を鳴らす音が聞こえてきた。
……ちょっと少しやりすぎた、かも。
「そこまで思いっきり喧嘩売ったなら覚悟しとけ、思いっきり後悔させてやんよ」
ちょっ、おまっ!まて!
やっぱ兄ちゃんが悪かっ……
真穂の顔があまりにも恐ろしく、腰が引けていたところ、
鳩尾にいきなり衝撃が走る。
渾身のパンチをどうも我が妹に入れられたらしい。
信号待ちで自転車を降りた隙を狙っていたのだ。
「あ、負けた方が1ヶ月下僕ってことで!」
真穂が今見せているきらきらとした笑顔と、言動・行動が伴ってねぇ…
信号が青になったので、「とおりゃんせ」のメロディーが流れる。いろいろツッコみたい部分があるんだが、
とりあえず、遠のく意識をなんとか保って、横断歩道を自転車に乗って渡った。
「……おま…腹はねーよ」
必死に声を振り絞り抗議するも、ヤツの耳には届いてないようだ。
お前、どんだけ理不尽なんだよほんとに。
「お前の行動がいかに愚かだったかを、その身を持って教えてやるから待っておれ」
ふふふと笑いながら、妹の後ろから淀み出すどす黒いオーラに、
喧嘩の売り方を間違えたのではないか、と深い後悔が俺を襲ったのだった。
とりあえず、負けられない兄妹対決、秋。
負けた方が下僕。
………ちょっ、負けたくねえ!!
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<主のあとがきと更新予告>
はい、前フリです。
真穂ドス黒過ぎ。
そんなわけで、10月は王道コメ路線でいきます。
頑張って更新するぜ!