なぜだ!なぜ生涯優等生の私が呼び出しを食らわなければならない!
いや、色々と今回は思い当たるフシがあるんだけど…
二週間前の兄弟暴露事件。
あの時の激しい罵りあいで、麻子は結局部活を辞めざるを得なかった。
お陰様でチームは絶好調。
県ベスト8という快挙を成し遂げ、私は心置きなく引退することが出来た。
しかし、一方で麻子は被害者ズラもいいことに、あることないことを色々な人に言いふらした。
まあ、恨み買うようなことしたのは反省したけど、結構エグいよな。
私と拓海が兄弟であることが1日にして広まると同時に、
『上坂真穂は女バレキャプテンを「ヘタクソ」と罵って辞めさせた鬼畜』
と言う不名誉極まりない噂も広まってしまった。
強ち間違ってないかもしれないけど。
拓海を始めとする男バレと女バレ後輩たちが必死で動いてくれたおかげで、
最低限の名誉は回復したからいいものを。
ウソ800も大概しろよな、色ボケ。
まあそんなわけで、日常生活に支障がでない程度になったわけである。
どすどすと大股で廊下を歩いた先には体育研究室。
十中八九今回の騒動のことだろーな
小さくノックし、呼吸を整えてから部屋に入った。
「…失礼しま…あ…た、拓海さん?」
「よォ真穂」
「なぜここにいる?」
「そりゃ俺のセリフだ」
なぜか体研には見慣れた後ろ姿がひとつ。
血を分け合った兄の姿だった。
「やぁっと来たかぁ、上坂ぁ~」
そこには男女バレー部の顧問がいた。
「派手にやったなぁーお前らぁ~」
男子顧問、勝野が言った。相変わらずののんびりさ加減である。
「とりあえず、お前たちが本当に兄弟だってのは本当なんだなぁ?」
「はい、腹違いですけど。父親は一緒です。みんなにはめんどいので兄弟としか言ってませんが。」
「そぉかぁ、じゃあ今回の騒動の真実を聞かせてくれぇい」
「ええっと、始まりから話すととーっても長いんですけど・・・」
やっぱりなあ…
こんな突拍子もない話を「そぉかぁ」の一言ってのもなんかおかしい気がするけど?
まいっか。
こんな感じで私たちは自分達の出生の話を、教師にも暴露したのであった。
ちなみに後日父親が学校に呼び出しを食らい、校長に事情説明をしたのは言うまでもない。
まあ、自業自得?
もう自分自身を恥じて下さい、ほんとに。
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<主のあとがき>
6月の兄弟事件の後日談。
あんなに派手に喧嘩を吹っ掛ければこうなるのも当たり前だぞ真穂。
しかも気にし無さ過ぎだよ、勝野先生。
麻子が完全ヒールになっているが、
ほんとはいいやつなんだよーほんとに!!
今度擁護のために過去編を書こうと思っています。
真穂が荒れてて、麻子が苦労していた時が設定上あるんです。
さーて、その前に本編を始めなければ。